Milky Way~壁の乗り越えかた~
義徳に言われたとおりできるだけ急いで準備をして、歩いてすぐのところを全力で走った。

ピンポーン。

チャイムを鳴らすと、即座に義徳がドアを開けた。

どうやら、ずっと玄関で待っていたようだ。

義徳に促され、彼の部屋に入る。

「今度はちゃんと飲んでよ」

そう言って、義徳はジュースを出す。

あの日と同じジュースなのは偶然なのか、それとも皮肉なのか……

「琴音」

ふと、義徳がわたしの名前を呼ぶ。

「合格発表見てきた」

「合格したんでしょ?義徳見てれば分かるよ」

「うん」

慣れてない土地だとか、受験日が続いているとか、そんなことは義徳にとってハンデにもならない。

「わざわざわたしを呼ばなくても、どうせ周りから伝わるんだし」

「他の人にはまだ言ってないよ。合格発表にも僕だけで行ってきた、真っ先に琴音に知らせたかったから」

「どうして?」

「琴音に、合格したら伝えたかったことがあるんだ」

義徳の視線がわたしを捉える。

「好きだ」

「えっ……」

「琴音のことがずっと前から好きだった」

突然の義徳からの告白。

わたしは、その意味をすぐには理解できなかった。
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