魔性の女
私の部活が終わる頃に、必ず浜田先輩が自転車で待ってくれていた。
学校出る時は綾乃さんもいるから、全然疑われなかった。
彼氏でもないのになんでこんなにしてくれるんだろー…。
微妙な思いを抱えながら、毎日その日の出来事やいろんな話をしながら帰った。
別に何もなく。
いつのまにか良き相談役になっていた浜田先輩。
自分のコトより私の話を真剣に聞いてくれてるのがスゴクうれしかった。
正直、そんな先輩に甘えていたんだと思う。
帰りの会話だけじゃなく、必ず電話もかけてくれた。
先輩はケータイを持ってたから自由だったけど、私はいまだにベル。
親にはいつも長電話を注意された。
友達以上彼氏未満?
そんな関係カナ。

「あのヒト、彼氏~?」
クラスの男子がニヤついてきた。
「ち…違うヨ!!」
馬庭先輩の耳に入るかもしれない…!
誤解されたらどーしよー!
もし知られても普通にかわせばいー話なのに、私はカナリあせっていた。
バレたら、嫌われる。
そんなコトばかり考えていた。
今思えば、超マイナス思考って思うけど、元々の性格がそーなんだから仕方がなかった。
私は自然に浜田先輩を避けていくよーになった。
もー一緒には帰っちゃいけない。
電話もしちゃいけない。
やっぱり馬庭先輩が好き!!
私は馬庭先輩への思いをよみがえらせた。
こんなコトしてちゃいけない。
浜田先輩に申し訳なくなる。
そんな決意を胸に秘めながら、いつもどおり綾乃さんと別れた後、自然を装って何気にダッシュで自転車をとばした。
今だ!
これで今日は浜田先輩と帰らなくてすむ!
そー思った瞬間、後ろからの声。
「弥生ちゃーん!」
ゲッ!浜田先輩だ。
やっぱり追いつかれた…。。。
「今日帰るの早くない?俺すげーあせった。はぁ、はぁ…。」
浜田先輩の乱れた息を聞いて、私は観念して結局また一緒に帰ってしまった。
今日はなぜかお互い無言。
まぁ、私の理由はおわかりですよネ☆
でもいつもなら話してくれる浜田先輩が無言って…。
よっぽど疲れたのカナ。
そして私のウチの前で、浜田先輩は口を開いた。
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