魔性の女

裏切り

冬休みもおわる頃、ずっくんの友達の家に一緒に遊びに行った。
3人いた中で、イヴにダブルデートした豊田君もいたけど、コタツで一人寝てしまっていた。
コタツの上には缶ビールがあけられてたから、酔いつぶれて寝ちゃったみたい。
ずっくんはゲームをやってる友達のトコに座っちゃったから、仕方なく寝てる豊田君の横に座った。
気配を感じたのか、豊田君が目を覚ました。
「…おっす。」
「うん…。」
気まずい。
私の足のスグ横に豊田君の顔。
動けばパンツ見えちゃう位置だから動けない。
でも豊田君もまだ酔いがまわってるのか起き上がらない。
「そこのビール…飲みかけだけど…飲んでいーヨ…。」
やっぱりまだ酔ってる。
…間接キス…。
ずっくんはそれに気付いてゲームやりながら、ヤキモチやいてた。
かわいーなぁ。
私の足に豊田君の息がかかる。
くすぐったい!
思わず豊田君の顔を見ると、ジッとこっちを見つめてた。
ドキドキしてしまう私はダメ?
豊田君は彼女いるし、私にはずっくんがいる。
ずっくんが近くにいるのにわざと?
モヤモヤした気持ちになりながら、ずっくんに送ってもらった。
「あのさぁ、ちょっとウチいこ。親も新年会でいないから。」
なんかずっくんの様子が変。
まさかさっきのコト気付かれてた?

「…さっきさぁ、あいつとなんかしてた?」
「なんかって?何にもないし。」
予感的中!
「俺すげーヤキモチやいたんだけど!」
いきなりずっくんは力任せに押し倒してきた。
「弥生は俺のもんだ!」
「ちょ…!やめて!」
私は急にずっくんが怖くなってなんとか振り切った。
「…ゴメン。」
今にも泣きそーな顔でずっくんはうつむきながら謝ってきた。
…かわいーなぁ。
私はなんだかずっくんのコトがいとしくなってきていた。
「ずっくん…。いーヨ。私も好きだから。」


帰り道ではなんか恥ずかしげな顔をしてたずっくん。
「恥ずかしいんだけど、俺経験ないからさ…なんか今日はゴメン。」
「ううん。私もゴメンネ。…あと、さっきのコトは気にしないで。」
「あー…。次は成功させる!」
やっぱりかわいーなぁ。
…でも、なんか物足りない。
何かが満たされない。
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