魔性の女

憧れの君

新入生歓迎会。この日は3年生が一番盛り上がる時。新入生に部活をアピールできる、絶好のチャンス。
私の心はもー決まっていた。中学時代にハマッた漫画、「スラムダンク」。そして念願の男子バスケ部のマネージャー!!
私は一人じゃ不安だった。由美を誘って入部した。もーひとり建築科の「智里」も入部して3人でマネージャーをやるコトになった。
バスケ部には今までマネージャーはおらず、女子バスケ部の先輩が兼任してた。
私は憧れの部活に入部したコトで舞い上がってた。暗くなってからの帰宅は当たり前だった。
「もっと早く帰れないの!?危ない目にあったらどーするつもり!やめなさい!」
母親は娘の私を心配して毎日のよーに怒鳴った。
「絶対やめんから!」
私は意地になっていた。
マネージャーの仕事は予想以上に大変だった。
力仕事はもちろんのコト、必ず最後まで残っていないといけなかった。
体育教官室で毎日のよーにサッカー部のマネージャーと顔を合わせていた。その中に見た顔。
「ゆうちゃん!?」
「やよちゃん?久しぶりー!」
懐かしい顔。小学校の同級生の「市川ゆう」。
途中で転校して離ればなれになったから、6年ぶりの再会になる。
「バスケ部なの?お互いがんばろーネー!」
ゆうちゃんは同じサッカー部の同級生と付き合っていた。
「いーなぁ…私も彼氏ほしー…。」
中学3年の3学期。私はひそかに好きだった人がいた。その彼も同じ高校に入学し、そしてバスケ部にいる。
でもいつのまにか彼女ができてて、私のほのかな恋は終わりを告げた。
ある日、私はいつものよーに由美と智里と一緒に体育館に入っていった。
3年生が引退前最後の試合に向けて、練習試合をしていた。
「…あの人…。かっこいい!」
その中に一人、私の目をひく先輩がいた。
「あの人って誰ですか?!」
私は興奮気味で女子バスケ部3年のあゆさんにきいた。
「馬庭君?電気科の3年だヨ。ちなみにキャプテン。覚えてヨ?!」
ストラーイク!
私の心は一瞬で奪われた。
「やよは馬庭先輩?私はルパンかな~」
由美は2年の秋川先輩、通称ルパンが気に入ったみたい。
この日から私の目は馬庭先輩だけに向けられた。
毎日がホントに楽しくなった。これからずっとハッピーな日が続くと思ってた。
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