魔性の女
第3章 「魔性生活」

最初の失敗

その日はそのまま桂と一緒に帰るコトになった。
桂の家は市外だったから、私の家は遠回りだったけど送ってくれた。
「ゴメンネ。道わかる?途中まで送ってくヨ。」
「…ゴメンだけどいい?」
堤防沿いを自転車でゆっくり走っていた。
私は緊張してて何も話せなかった。
「ねぇ…あのさ。…キスしたコトある?」
最初に口を開いたのは桂。
しかもいきなりすぎる質問!
「ないヨ!?だって桂が初めてだもん。」
二人で顔を赤くしながら、そのままバイバイした。

次の日、部活にいこーと体育館に行くと桂が入口に立っていた。
私はうれしすぎて早足で挨拶だけして通りすぎていった。
今思えば、桂は何か私に話したかったのかもしれない。
部内では私達のコトは噂になっていた。
私は恥ずかしくて、わざと桂にはそっけなくして余裕をかましてるフリをしていた。
帰ってからのベル打ちは欠かさなかった。
「アイタイヨ ヤヨイ」
「オレモアイタイ ケイ」
電話が苦手だった彼とはいつもベルで連絡しあっていた。
最近ファーストフード店でバイトを始めた私は桂をデートに誘った。
「バイトノアトアオー ヤヨイ」
「ムカエニイク ケイ」

その日のバイトはウキウキでやっていた。
「いらっしゃいませ~♪」
なんてネ☆

バイトが終わっていくら待ってても桂がこない。
しょぼくれてるとベルが鳴った。
「ヤッパリイケナクナッタ ケイ」
なんだそれ!雨の中待ってたのに!
次の日から桂は急に冷たくなった。
ベルにも返事をくれなくなったし、みんなとの会話に女のコの名前も出てきていた。
私も全くしゃべらなくなった。
数日後、一通のメッセージ。「ワカレテホシイ ケイ」
「イッカイハナシタイ ヤヨイ」
「……」
「……」
それっきり自然消滅。
しばらくして桂に好きなコができたコトを綾乃さんから聞いた。
「やよちゃんがいかんだヨ!」
綾乃さんに怒られたけど、私には全く理由がわからなかった。
桂の態度の急変に私はあきらめきれず、引きずり続けた。
何で……?
わかんないヨ…。
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