【完】キセキ~君に恋した時間~




「その練習試合って、徹も出れんの?」



からかうようにそう言ってきた美海に、
俺は少しムッとしたように言い返した。



「当たり前だろ!これでも結構スタメン
にしてもらってるんだから」



そりゃね、栄生君には敵わないけどさ。


最近じゃ、福田さんにも1on1で勝てた
りすることもあるんだから。



「……そっか…。また、見たかったな、
徹がバスケしてる姿……」



どこか遠くを見つめるようにして、そう
言う美海。



「……見れるよ。無事に退院して、元気
になれよ。そしたら試合の時に、美海の
事、呼ぶから……。美海に、来てほしい
から」


「……」


「去年の夏さ、練習試合で美海が来てく
れて、すごい嬉しかった……。美海が来
てくれたから、俺、勝てたんだと思う」


「……大袈裟」


「大袈裟なんかじゃないよ、本当に」



そう言って、美海を見つめて微笑む。






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