トワイライト
  一方有はと言うと美紗依と大雅を交えて、それに蓮そして有の養父である英嗣(ひでつぐ)と、養母である由奈(ゆな)と共にロビーで、和気藹々(わきあいあい)と談笑していた。




  この時夏目夫妻は有が失踪をして、美有を身代わりとして結婚式を執(と)り行った事を、美紗依に聞いて驚いた。二人は美有の事を既に知ってはいたが、まさか大雅と美有が接点を持ち、そして今まで養親(おや)である自分達をも欺(あざむ)いていただなんて思いもしなかったからである。




  ちなみに有が自分の実の肉親と会い少しずつでも心の平静さを培(つち)えるのであれば、それはむしろ夏目夫妻にとっては願ってもない事だった。




  でも有は以前の恋人の事を忘れてしまった。それは恋人がいた有に大雅との縁談話を持ちかけて、それを無理に推し進めてしまった事に、その原因があるのではなかろうか?と、由奈(ゆな)にとっては少し気がかりだった。




  いくら自分の主人の親友の会社の危機を救う為とは言え、結果的に自分達の養娘(むすめ)を犠牲にした事に変わりはない。だから尚更由奈は有の養母として有の事が不憫でならなかったのである。




  仮に一方的に自分達が有と大雅の結婚話を進めた事が、有の心を苦しめる事になったのであれば、それこそ本末転倒な事である。
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