トワイライト
「そうなんだけど何?美有、人生って言うのは必ずしも『1プラス1が2』になるとは限らないし、ましてや人の心って言うのは時には流浪(るろう)するものでもあるんだよ。良いかい美有、大雅さんの人間性はとても良いよね。




  それは僕達が今迄大雅さんと接してきて、充分に感じているハズだ。だから僕はきっと大雅さんは有さんをこれからも大切にして、しかも有さんを必ず幸せに出来る人だとそう思うよ」
  とそう慎也に言われて




「そうね。大雅さんは多分有を確実に幸せにしてくれると私もそう思う。でも隼人さんはまだ有さんに未練があるのよ。昨日の有さんに対する隼人さんのあの激しい感情のぶつけ方で、慎也も隼人さんの有さんに対するその愛情の深さを痛いほど感じたはずだわ。だからこそ私は隼人さんが不憫(ふびん)でならないの。隼人さんの気持ちも理解出来るからこそ、私は隼人さんの事も心配なの……」
  と言って美有は少し苦渋(くじゅう)の表情になり、紅茶のカップを手にした。
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