トワイライト
「そうだね。有さんの心の中に隼人さんに対する揺るぎない思いがあればまた違った結果になってかも知れないし、あるいはその頃有さんは自分自身の心の中に、自ら悩みを抱え込む形でもって不安定な心理状態だった訳だから、その心の隙間に大雅さんがスッと入り込んでしまったのかも?それもごく自然な形で……」
  と美有はため息混じりに言った。



「確かにそう言う心理状態になる事もないとは否定は出来ませんよね。ちなみに私の再従兄弟(はとこ)もつい最近学生時代から付き合っていた彼女との永過ぎた春に終止符を打って、お見合いをした人とあっさりと結婚をしたけれど、多分理屈は有とあんまり変わらなかったんじゃないのかなー?」
  と千夏は言った。




 千夏の話をじっと聞いていた慎也は
「って事はつまりその時点で有さんの心の中では、隼人さんとの事が既に自然消滅をしていたと言う事なのかな?て言うか、実際有さんは大雅さんとのお見合いの後隼人さんとは会わず仕舞いで、大雅さんと正式に籍を入れて結婚式に臨もうとしていた訳ですからね?」
  と言った。




「そうなのよねー。多分有さんの気持ちの中では、隼人さんの気持ちを置き去りにした形のままではあったけれど、自分なりにけじめをつけていたんでしょうね。でもやはり私的にはこの場合隼人さんとキチンと話合うべきだった気もするわね。だって隼人さんは私達に有さんの失踪の事実を聞くまで、有さんの失踪すら知らなったと言うし」


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