トワイライト
第3章‐有の行方
  翌日の早朝今度は美有と慎也の二人は、有が夏目家に引き取られる以前に預けられていた乳児院を尋ねた。そして美有は理子が某産院で有を出産後すぐにその乳児院に預けた事実を、院長から聞いて知った。だがこの時点では理子が双子を生んで、妹の有だけをその乳児院に預けたのだと言う事は解らなかった。なので二人は更に遡(さかのぼ)って、理子が美有と有の双子を生んだ産院を捜す事にした。が、しかしその当時理子は子供の父親の存在を公に出来ない出産だったためか、美有達が尋ねたその産院には出産記録が残されていなかった。




「うーん。此処で行き止まりか……」
  と言って美有が腕を組み思案していると、




 院長が
「高階さんそう言えば産院には出産記録を残さなくても良いけれど、国の規定では一応出産記録を残す義務があるから、理子さんがその当時住んでいた地域の市町村の役場をあたってみると良いわ」
  と補足してくれた。




「そうだったんですか。ありがとうございます。では早速あたってみます」
  と美有は言うと丁寧に頭を下げた。
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