吸血鬼の箱庭






「やっと契約する気になったか。」



ナイトが微笑みながら、俺からナイフを奪い返し、自らの手の甲を斬りつける。




「手、貸せ。」


恐る恐る手を差し出すと、ゆっくり、お互いの傷口を合わせた。



「っ!?」



激しい頭痛がして、まともに立っていられなくなる。


そんな俺の背中を花村が両手で支える。


「まだなん!!?」


「後少しだ。」





ナイトの身体にはなにも起きていないようで、冷静に手を離すタイミングを測っている。



「いいだろう。」




やがてナイトが俺の手から離れた。




「大丈夫ですか?」



花村がポケットから、古い包帯を取り出す。


「おれはいい。まずこいつの傷口を塞げ。」


「了解です。」



花村が俺の手に優しく包帯を巻く。



「これで…吸血鬼になったんですか?」





「あぁ。これから色々教えてやるよ。」


ナイトがこちらを見て、ニヤリと笑う。










「まずはその西訛りの話し方を直さねぇとなぁ。」









俺の平和な毎日は、今日で終わりを告げた____


< 26 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop