四季の旅。
機械人形とオオカミ犬。
私はアン。人形だ。
樹齢千年を越えた木を使って作られた人形は、命…意思が芽生えると言われてる。
見た目は人間と変わらないけど、中身はよく判らない機械みたいなので出来ていて、ゼンマイだか歯車だかが廻って私は動いているらしい。もちろん油は必須だ。

私を作ってくれた人は知らない。
気付けば私はこの街に居た。
たいていの家事はやった事ないけど出来た。
そのおかげで深刻にお金に困った状況になった事はない。
といっても、飲み食いの出来ない私には、別にそこまでお金は必要なかったんだけど。
でも、何故か楽器店に置いてあるアコースティックギターに凄く惹かれて、頑張ってお金を貯めて買った。
弾き方は何故か知っていた。
公園で一度弾き語ると、周りの人達が泣いてた。
凄く気持ち良かった。 私はこの為に生まれてきたんだと、本気で想った。
ただ仕事をするだけの一日は終わったんだ。
私は旅に出る。私の歌を人に、出来るだけ多くの人々に聴かせたいんだ。


そう思うようになってからは、旅の資金を得る為にまた頑張ってお金を貯めた。
今までモノクロだった世界に、色がついたよう。
毎日が凄く充実した。
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