花言葉を君に。


「嘘・・・イズミ先輩がそんなことするわけない!」


チャラそうに見えるけど、本当はすごく優しい人だもん。


「私だって聞いた話だから。でも、2年前、凛堂先生が園芸部の顧問で」


「もう聞きたくない。ごめん、自分勝手だけどイズミ先輩のこと信じてるから。だから・・・」


続く言葉は出てこない。


イズミ先輩が、先生を妊娠なんて、ありえない。


・・・って思いたいけど、思えない自分がいる。


だって、みんな何か隠してるから。


きっとイズミ先輩も、凛堂さんも、ユウキ先輩だって。


2年前に、何かあった。


それだけは確かなことだ。


「・・・ごめん、紫苑。事実は本人だけが知ってることだよね。」


「うん。こっちこそごめん。」


「じゃあね。」


電話を切ったあと、明梨に当たっちゃったと後悔した。


・・・聞けるかな。


もう気になって、気になって仕方ないよ。


本当は、何も知らないの。


ただ一緒にいるから、なんとなく知ってる気でいたけど、クラスもフルネームも、好きな食べ物も、何も知らない。


・・・知りたいけど、少し怖いから。


あたしは人と上手く接することが出来ないんだと思う。


変わりたいけど、怖いんだ。


< 63 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop