最後の恋―番外編―


「嘘ついて、学を騙して、ごめんなさい!」


潔く謝ったのに、学の返答は不機嫌そのものだった。


『……嘘って、全部ウソ?』

「……元彼に会ったっていうのも、言われたことも、嘘です」


正直に白状したのに、まだ学の声は不機嫌さを伴っていた。いつもよりワントーン低い声のまま、さらに問いかけられる。


『俺に会いたいって言ったのも?』

「ちが、違うよっ! 会いたくて仕方ないよ! すっごく大好きな人が遠くにいて会えないんだから、寂しくて会いたいって思うのが、当たり、まえ……」


思わず声を張り上げて、正直すぎるくらい正直に言い連ねる。だけど、最後の最後で尻すぼみになったまま途切れてしまったのは、そこでやっと気づいたからだ。

さっきまで自慢大会をしていたはずの、三人のからかうような視線。そして、電話の向こうで頑張って堪えているんだろうけど、漏れてしまっている学の微かな笑い声に。


やられた。
完璧大人四人に、まんまとハメられた。

気付いたときには遅くて、もう行ってしまったことは取り消せないって分かっている。
言った言葉がまぎれもない本心だからこそ、恥ずかしさが半端ない。どうして私って、こうやって突っ走って何度も自爆しちゃうんだろう。
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