最後の恋―番外編―

上半身だけベッドに乗せた状態で突っ伏していると、後ろから覆いかぶさってきた学の温もりを背中に感じた。思わずびくっと身体が反応してしまう。

背後から、ベッドに乗せていた両手を学の大きな両手にそれぞれ掴まれたせいで、学の下から逃げ出すことも身体を反転させて学に文句をいうこともできない。


「大丈夫、なるようになるから」

「……でも、お姉ちゃんの恋が上手くいってほしい」


布団に顔をうずめているからくぐもる自分の声。

学に包まれている手は、いつの間にか指を交互にする握り方に変わっていて、指の間一つ一つから学の温もりを感じて否応なく胸が高鳴る。


「大丈夫、結果がどう転んだとしても、美月が春陽を好きなのはかわらないんだから。 それにもしかしたら、告白されたことで誠人が自分の気持ちに気付くかもしれないし、逃がした魚の大きさに後になって気づいて後悔するかもしれない」


言い終わると同時に耳をぱくっと唇ではさまれて、思わず「ひぅっ」と色気も何もない声が漏れる。


これはオトナな学だ!

なんだか知らないけれど大人な学のスイッチが入った!!


それぞれ握られていた手が、学の左手だけで易々と一つに頭上でまとめられてしまう。そっちに気を取られているうちに、空いた学の右手が怪しげな動きを見せはじめた。
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