復讐のkiss
気持ちを落ち着ける為に少し散歩して、

それから一度部屋に戻った。

…トントン。


優しくドアをノックする音が聞こえ、

どうぞと声をかけた。


「ミラ様、イスタ帝国軍が、帰郷されました。

出迎えに参りましょう」



「・・・はい」


イスタ帝国軍の圧勝を知る民衆は、

歓喜で湧いていた。

そんな中、私は宮殿前まで出て、

ラメセスを出迎えた。

…目の前に現れたラメセスは、

肩に包帯を巻き、縫った傷口が開かないよう、

固定されている。


それを見た誰もが息を呑んだ。

いつもケガ一つしないラメセスがケガをして帰ってきた。

それはなぜなのか。

皆が知りたかったが、誰一人、

それを聞く者はいなかった。



「…ミラ」

「お帰りなさいませ」

真っ直ぐに私を見つめるラメセス。
< 36 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop