君だけの天使になる
*ずっと




 文化祭。
 俺と春香が約束していた日がきた。


 相変わらず俺は春香から離れられない。
 少し、不安になる。


 俺、悪霊なんかにならないよな?


 春香が笑ってくれれば俺も、たぶん
 いなくなるんじゃないかって

 心のどこかで思ってる。



 だけど―――... 
 まったく笑わない春香。

 俺のせいだ。
 俺が死んじゃったから。



「ね、春香ちゃん。どこに周りたい?」


「....うん」



 今さっきから杉山と文化祭を一緒に
 周ってるのに全然楽しくなさそうな春香。


 言葉が「うん」しか言ってないのは
 それだけ俺が死んだショックからだ
 と思う。



「春香ちゃん...」


 ほら、杉山も心配してるよ?春香。
 ちゃんと話し聞いてあげて。


「あ、ごっごめん!私ぼーっとしてた。
 行こうっっ!!」


「ううん。いい。今はゆっくりでいいから」



 相変わらず女には優しい杉山。
 ほんと、にくめない奴だよお前。


 二人を見てるとハラハラする。
 くっついて欲しいようなくっついて
 欲しくないような、そんな気持ち。



 
 おーい春香。そっち道違う...。


< 20 / 32 >

この作品をシェア

pagetop