恋愛放棄～洋菓子売場の恋模様～
母とのことや、元彼のことまで。
時間軸もばらばらだったろうけど、私の気が済むまでずっと。


めそめそと、話し続けて、漸く冷静さが戻ってきた頃。


言葉が途切れて、はぁ、と深呼吸した。
俯いたままでいたから、目はテーブルの木目の形を覚えてしまったくらい。



「なぁ…少し説教するけど泣くなよ」



顔を上げると、少し怖い顔をした藤井さんがいた。



「楽しかったし、楽だったろ。

後ろに、笹倉とあの子が居てくれる状況で、遊ぶのは。

傷ついたり一人になる心配しなくて済むもんな。

何かあったら笹倉が慰めてくれて、それを知ってて側にいてくれる友達がいて」



急に言葉に含まれた棘に、私は目もそらせなかった。


そうだ、甘えてた。


実感する、自分の浅はかさ。
恵美ならずっと居てくれると思ってたんだ。



「守ってくれる存在にただ甘えて適当な生き方してたら、痛い目みるぞ」



溜息と、向けられた眼は冷たかった。



「あの子の言うとおり、甘やかされすぎ。お前」



彼の意地悪な顔も言葉も棘だらけで、だけど言い返す言葉もあるわけなくて強く唇を噛み締めた。


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