恋愛放棄~洋菓子売場の恋模様~
出口で待っていると、現れた彼女はかなり、困惑気味だった。



なんも説明してないし、当然だけど。
電車に揺られながら、窓ガラス越しに殺気を感じる。


斜め少し下を見れば、殺気の主、狭山がこちらを恨めしそうに見ていた。
唇を尖らせたその顔がおかしくて、つい笑ってしまったら攻撃された。



「笑ってないで説明してよ。なんか今日、笹倉変じゃない?」

「いや、いつもどおりだけど」



今ここで全部説明すんのも面倒くさい。


なので、先ほどから彼女の質問を全部聞き流して携帯をいじるフリをしてやり過ごしていた。


怒るのも当然だ。



「…これのどこがいつもどおり?」



彼女が、手を目の前まで持ち上げた。
しっかり繋がれた、俺の手も一緒。


いや。
だって、釣りって餌まかなきゃね。
確実に今日捕まえてさっさと終わらせたい。


俺だって今更こんなこと恥ずかしいわ。
電車の中で、意味なく繋ぐことなんて今までなかった。


思えば、手を引くのは合図のようなものだったし。
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