俺のこと好きになるの禁止だから!!



パシャ───



「…?」



「ね?何か聞こえない?」



「何かって?」



なんていうか鈍い機械音。水たまりの音にしては低い音。それはまるでカメラのシャッターの音のような…?



「雨じゃないのか?」



さらに強くなる雨粒。あまりの雨の強さに私たちは近くの屋根に避難した。



「さっきまでは小降りだったのにね。」



2人で空を眺めているがやむ気配はない。
それは、まるでだだこねて大泣きしている子どものように見えた。



「なんか駄々っ子みたいに空が泣いてるように見えるね…。」



「そっか、それじゃ空は今の俺と同じだな…。」



空を眺めていたツバサが急に言いだす。



「…唯、今日帰りたいか?」



似つかわしくない言葉。



「何?それ?」



「俺は、お前を帰したくない。」



突然の言葉。


ツバサがそんなことを言うなんて……



「ななな何言ってるの……?」



「そのまんまの意味だ。」



言葉が見つからず、口ごもる。



「俺…今日は楽しかったよ。今日が終わるのがもったいない。」



フッて笑うツバサの顔を私はずっとずっと見つめていた。



< 96 / 201 >

この作品をシェア

pagetop