シルティアの魔術師

「…ご無事でしたか？陛下。」


私を我に帰らせたのはエリスの言葉でした。
彼女は、ケツァルコアトルを上空に従え、恭しく膝を折っておりました。


「ああ、お主達のおかげでな。礼を申す。その上空におる者…ケツァルコアトルと言ったか、素晴らしい能力を持っておるな。」

「ケツァルコアトルは風を司る龍神でございます。あれだけの野獣相手となると、他の方法で対抗した場合こちらにも危害が及ぶ可能性がございましたので、彼に助けて頂きました。」


そう言うと、エリスは上空のケツァルコアトルを見上げました。

その眼は敬愛の情に溢れており、いかに彼女が召還する者に敬意を示しているかが強く伝わって参りました。