君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
「それでね、普通は聞かないんだけど、東野君さ誰かご指名の秘書とかいる?秘書はパートナーだからね。希望があれば特別に聞くよ」


やたら笑顔で俺に投げ掛ける副社長。


秘書、か。
本当に迷惑な話だ。就業中は四六時中一緒なんだろ?考えただけでゾッとする。

だけど...そうだな。指名していいなら彼女がいい。


「じゃあ、櫻田をお願いできますか?」


仕事ができて男嫌い。


「えっ...?」


意外だったのか、副社長は驚いた様子。


「指名してもいいんですよね?だったら櫻田菜々子をお願いします」


再度言い、頭を下げる。


「あっ、あぁ。分かったよ。...うん
、確かに櫻田君なら納得かな?橘君の同期で、仕事もミスなく
的確で速いし、何より男嫌いって噂だからね!伝えておくよ」


「お願いします」


そう。彼女なら営業部のルールもすぐに理解でき、男嫌いなら尚更嫌になりすぐに辞めてくれるだろう。

社に従うのは一度で充分だ。

自分のスケジュールくらい管理出来なくて仕事なんて出来るか。

櫻田には悪いが、早めに辞めてもらおう。


そうだ。
そう思っていたのに、櫻田はなかなか渋とかった。


初日から戦力外通告したっていうのに、職場だと指定したごみ置き場と化していた給湯室内を掃除し、部下にお茶を淹れる始末。

みんないらない、飲まないと言うのに、懲りずに10時と3時には必ずお茶を出していた。

その日によって紅茶だったり色々考えては出して。それでも部下は暗黙の了解で手は出さず。


「東野。お前の秘書、なかなかやるんじゃねぇの?一回も泣かねぇし」


「藤原」


喫煙所で一服していると、高校時代からの腐れ縁の藤原が来た。


「さすが東野部長がご指名しただけはあるな」


「別にそんな意味で指名したわけじゃない」



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