君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
橘さんの意味深な言葉に、思わず手が止まる。


「そう、二つよ。一つはお見合い相手にかなりの不満があったか。それか櫻田さんが...」



「えっ!わっ、私が!?」


ジッと私を見つめる橘さん。


「櫻田さんが、先方に三田社長の件みたいな失態をしてしまったか...」


「失礼ね!してないわよ!」


第一お見合い相手がどこの令嬢で、どんな人かも知らないっていうのに、そんなこと出来るわけないじゃない!


「あらやだ。冗談に決まってるでしょ?冗談も通じないと優秀な秘書とは言えなくてよ」


そう言うと橘さんは、お上品にベーグルサンドを頬張る。


そんな橘さんにイラッとしながらも、空腹なのを思い出し私もベーグルサンドを口一杯に頬張った。


「でも良かったじゃない?本当にお見合いはなくなって。まぁ、そもそもあの女嫌いな男と結婚したいと思うのは、きっとこの世で櫻田さんただ一人だけだと思うけどね」


「...本当に失礼ね。でも、それはそれでいいけどね」


そうよ。東野さんの良さを知っているのは私だけでいい。



「あら、おのろけはやめてくださる?聞きたくないから」


「別にのろけてないじゃない」


「はいはい。あっ、そういえば締切そろそろよ。社内旅行の参加申し込み。前聞いた時、行かないって櫻田さん言っていたけど本当に参加しなくていいの?」


社内旅行かぁ。


「うーん...。東野さんには聞いてないけど、無理だと思うわ。普段の東野さんの仕事ぶりを見ていたら」


休みの日でさえ仕事してることが多いみたいだし。



「まぁ、そうかもしれないけど一応東野さんに確認した方がいいわよ。基本、社内旅行は全員参加だし、勝手に判断するのもどうかと思うしね」


「そうね」


東野さんのことだから、自分は参加しないけどお前は行けって言うんだろうな。


「さて、そろそろ戻りましょうか。ごちそうさま」


「そうね...って!ちょっと待って!私が出すの!?」


伝票持たずに、さっさと行ってしまった橘さんを慌てて追い掛ける。



「当たり前じゃない。相談にのってあげたんだから」


のってあげたって!!
ただ橘さんが聞きたかったからじゃない!


「そんなわけでお会計よろしくね」


「あっ!ちょっと橘さん!?」



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