君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
そのまま東野さんの顔が近付いてきて、そっとキスされる。

優しいキスで、逆にそれが私の羞恥心を煽る。


「悪い、つい...」


「いっ、いいえ...」


なんか恥ずかしくて東野さんの顔が見れない。


「...じゃ、夜に。先に出るから、少ししてから出てくれ」


「はい」


何事もなかったかのように倉庫から出て行く東野さん。


その背中を見つめながら、今が現実なんだって思い知らされる。
ニューヨークに行っちゃったら、会社でこんなことも出来なくなる。仕事が終わって合鍵で家に行って、ご飯を作って一緒に食べることも出来なくなる..。

悩んで一緒に考えて、笑い合って...。そんなことも出来なくなる。そんなの、嫌よ...。


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この日、秘書課の上司から言われた。秘書として東野さんについていくか、それかこっちに残るか...。


勿論答えなんてすぐ出るわけなかった。


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自分のことなのに、自分に聞きたい。


『私の幸せってなんですか?』って。


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