君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
着替えを済ませ、化粧をし洗面所で髪型を整える。


「...おかしくないかな?」


この服装と髪型、合ってるよね?


鏡の中の自分にそっと手を当て、問い掛ける。


「...今日くらい、泣かずに頑張れるよね?」


ううん、頑張らないと...。


ーーーーーー

ーーーー


「東野さん、ごめんなさい遅くなりました」


「いや、俺が早すぎただけだから」


約束時間の15分前なのに、東野さんはもう約束の場所に来ていた。


「...本当に行き先、あそこでいいのか?」


「はい!」


「そうか。じゃあ乗って。行こう」


「...はい!」


いつものように助手席に乗り込む。


いつもの席、いつもの匂い。


行き先は最初に行ったテーマパーク。...思い出のある場所にもう一度だけ、東野さんと一緒に行きたかった。


「そうだ、こんな時に仕事の話をするのもあれだけど、部長には藤原が昇進することになったから」


「そうですか。...さすがです」


でも、当たり前かな?藤原係長にはそれだけの器があると思うし。


「藤原なら、きっと役目を全う出来るだろうしな。それにあいつは俺と違って社交的だ。取引先からの受けもいいから、なんら問題ないだろう」


「...東野さんだって、社交的だし人気ありますよ?」


「それはありがとう」


そう言うと東野さんは左手で私の頭を撫でる。


「菜々子にだけ、人気があれば充分だよ」


なっ...!!
なんていう殺し文句!!


「...それは反則です」


そう言うと東野さんは声をあげて笑った。


...私、やっぱり東野さんの笑った顔が一番大好きだな。
確かに仕事中のキリッとした顔も好きだけど、今みたいに無邪気にただ笑う東野さんの顔が一番大好き...。



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