君が好き。~完璧で女嫌いなカレとの恋~
きっと、どんな恋愛の形にも正式な答えなんてないと思う。
だけどこれだけは言える。諦めてしまったら、そこで終わり。
相手を思い続けない限り、きっと報われることはない。
当たり前のことかもしれないけど、きっと一番難しいことだと思う。一方通行な想いをずっと抱えているのは、実は辛くて、時には悲しくなるほど。


だけど人はきっと一人じゃないから。
辛い時や悲しい時は、友達が支えてくれて、傍にいてくれる。だから人は何度辛いことや、悲しいことがあっても、恋をする。

...恋が出来るんだと思う。


「東野さん...大好きです」


だけど、私の恋愛はもうこれが最後。だって東野さん以上に好きになれる人なんていないもの。


「...圭吾、だろ?」


そう言って笑った東野さんに、私の胸はまたキュンとなる。


そしてまた、唇が触れそうになった時、急に教会の扉が勢いよく開かれた。


突然のことに抱き合ったまま扉の方を見ると、そこにはにやにやした、みんなの姿が。


「おいおい、俺達の結婚式とっくに終わっちまったんだけど」


「藤原」


我に返り、慌てて東野さんから離れる。


「櫻田さーん!俺達の余興終わってしまいましたよ」「こっ、小山君...!」


みんなが次々にからかいの言葉を投げてくる中、何も言わず橘さんが近付いてきた。


「ちょっとくそ野郎。ちゃんと櫻田さんのこと幸せにしなさいよ?...この四年間、櫻田さんが苦しんだ分!」


そう言って東野さんを睨み付ける橘さん。


「分かってるよ。もう絶対に菜々子を泣かせたりしない」


「絶対によ」


「あぁ」


東野さんがそう言うと、さっきまでの表情とは一変して、橘さんは安心したように笑った。


「よっ!男前なくそ野郎!」


「藤原、お前なぁ...」


嬉しそうに東野さんの肩に手を回す藤原さん。


「東野さん!お久し振りです」


「どうですか?向こうは」


「つーかなに櫻田といい感じになってるんですか!」

藤原さんに続くように東野さんに群がる営業部のみんな。




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