私、ヴァンパイアの玩具になりました
第一章

バカって気楽で最高ですよ

「じゃあ、優ちゃん。いつでも、帰ってきて良いからね?」

親戚のおばさんが、玄関で立っている私の頭を優しく撫でて優しく微笑んだ。

おばさんは私より少し小柄で。フワフワした白い髪の毛が小さい頃から私は大好きだった。

笑うとシワがよる笑顔も。ギュッと、握ってくれた温かくて優しい手も。私の事を何より大事にしてくれた優しい心も。全部、全部。

私は、小さい頃からおばさんが大大大大好き!


「はい!ありがとうございます!今まで、大変お世話になります!」


私はおばさんに負けない位の笑顔で、お礼を言った。

あ、ダメだ……。泣きそう……。おばさん、私が小さい頃から、本当に私に優しくしてくれたよな………。


「……………?なります?」


おばさんが苦笑いしながら首を傾げる。

………………。はっ!!


「…………あ、間違った。今まで、大変お世話になりました!……だ……」


色んな意味で泣きそう……。


「………ふふっ。……この調子なら、心配いらないわね。…優ちゃん、くれぐれも、知らない人について行ったらダメだよ?お菓子あげるって、言われても、いらないって断るんだよ?」

「はい!知らない人について行きません!お菓子、もらいます!」


私は片手をあげて笑顔で宣言した。


「だから、お菓子はもらったらダメよ」


おばさんは少し困った顔して、もう一度言ってきた。


「えー、でも、お菓子もらえるんですよ?…もらってあげないと、相手の人が可哀想じゃないですか………」

「おばさんの言うこと聞けるかい?」

「…………はーい!」

「……、ちょっと心配だけど……。……優ちゃん、いってらっしゃい」

「……はい!行って参ります!」


私は笑顔でおばさんに手をブンブン振った。おばさんも、笑顔で振りかえしてくれた。

今日から私は一人暮らしデビューです!大変な事も、あるかもだけど!頑張るぞー!

少し肌寒い風が、私の頬、髪の毛を通っていく。小さくまとめた手に、息を吹きかける。


私は、深呼吸する。そして、鞄の中にいれていた、これから住む自分の家の場所が書いてある地図を見ながら歩いていく。

不安と期待が混ざった気持ちで。地図通りに、進んでいくと。


凄い大きくて、お伽話に出てくるようなお城のような建物がポツンとあった。

えーと……。ここだよね?え?ここなの?


え?大きくない?私、一人暮らしだよね?あれ?私、住所と地図書き間違えた?それとも、ただ、私がバカなだけ?
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