Wonderful DaysⅠ


地下街に効いている暖房で、徐々に温かくなり始めた体だけど、その笑顔に一気に顔に熱が集中する。


「……はい」


クラクラする頭で何とか返事をすれば、止まった足を再び動かして進んで行く魁さん。


あぁ……だから、そんな笑顔見せたらダメですってば。


視界の端に映る行き交う女の人も、その笑顔にノックアウトされてますよ?


魁さんの笑顔にドキドキし過ぎて、周りなんて全く気にしていなかったけど……


───凄いな……


よく見てみれば、擦れ違って行く人達の中にはスマホや携帯で写真を撮っている人が結構いたりする。

その姿を見る事が出来れば超ラッキーと言われている魁さんが、スーツ姿で人混みの中を歩いているなんてプレミアム物なんだろうな……


今まで、全く女の人を寄せ付けなかった魁さんが、女と手を繋いで歩いているだけでも吃驚しているのか、固まっちゃっている人も多い。

当の魁さんは、それを気にする事も無く進んで行く。


まさか、2ショット写真まで撮られて広く知れ渡ってしまうとは思わなかった私は、後に魁さんの隣にいるという事が、どんなに凄い事なのかを思い知る事になる。


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