Wonderful DaysⅠ

誕生日プレゼント







「ふぁ…」


眠い。ただ、只管に眠い。

久しぶりに被っている黒髪おさげのウィッグは重く感じるし、病み上がりの体で学校までの道のりは正直キツイ。

だけど、今日は終業式。

それに、私には意地でも登校しなくちゃいけない理由があった。

10日ぶりの通学路を一人とぼとぼと歩きながら、3日前の事を思い出す。


あの後……三度、口を塞がれた私は魁さんから受けた濃厚なキスに意識が飛んだ。

……そう、恥ずかしいことに気絶した。


次に目が覚めた時には私だけベッドで寝ていて、魁さんの姿はなかったから、あれは夢だったんじゃないかと思っていたけれど。

身動きした時に、自分の体からふわりと香ってきた魁さんの匂いに現実だったんだと実感した。


その後は、魁さんの外出中に修さんが迎えに来てしまったから、魁さんには会えないままで。


───私…本当に、あの魁さんとキスしちゃったんだよね!?


家に戻っても、頭に浮かぶのは魁さんとのキスシーンばかり……

興奮しすぎて、寝不足になる事3日。


「あぁ……思い出すだけでも気絶しそう……」


今日も、その事で頭がいっぱいの私は


「何を思い出して、気絶しそうなの?」


背後から掛けられた声に、びっくりして振り向いた。


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