誘惑HONEY


「はぁっ?」

「破ったら、リコンするから」

「なっ…別に、木下とは実習の話をしてただけで…仕方ないだろ?同僚なんだから…」

「ハイハイ。今日のことは大目に見てあげるから。これからは気をつけてね?」


カァーッとなる俺の肩をポンポンと叩いて、平然と食事に戻るナオ。

……コイツ。


なんだよ、それ。

俺、完全に振り回されてるって言うか…尻に敷かれてるよな?


だいたい、今朝のやりとりだけでそんな噂になるんだよ。

これだから高校生は…


そういや、あの頃は俺もいろいろやってたしな…

はぁーっ。


諦めて、弁当箱に手を伸ばす。



「……龍ちゃんは、自分がモテるって自覚が足りないよね。」


そんな俺を見ながら、ナオがぽつりと呟いた。


「私にはいろいろ言うくせに…ズルイよ。」

「ナオ…?」

「私だって、心配なんだよ?」


さっきまでとは明らかに違う。

泣き出す一歩手前みたいな表情でナオが俺を見つめている。


きゅっと。
胸が締め付けられるのがわかった。



「ナ…「ただでさえ、龍ちゃんは制服姿の“女子高生”が大好きなのに、そこにスーツの“女教師”まで加わったら…」



< 21 / 73 >

この作品をシェア

pagetop