冷たいあなたは救世主


『もしもし?』


懐かしい、憲吾さんの声。


「あ、天野…です…」


久しぶりにこの名字を口にした。


『小宵ちゃん?』


「はい…」


『ずっと連絡とれないからさ、心配してたんだよ。

…で、どう?元気?』


「はい、おかげさまで…」


また嘘をつく。


『結婚生活は幸せ?』


「はい」


また嘘をつく。


『そっかー。ならよかった。』


憲吾さんは電話の向こうで笑った。





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