その一枚がくれたのは、勇気と恋でした
廊下をしばらく歩くと写真部の部室が見え、ドアが開いていた。

和中君の写真を見るために初めて訪れて、それから毎日私はこの部室に通うようになっていた。


「失礼します」


声を掛けてはみたが、どうやら和中君は私に全く気付いていないらしく、一生懸命床に散乱している写真を拾い集めていた。

そして、小声で何かをぶつぶつと呟いているようだった。


「あら、片付けちゃうの」


この言葉にようやく彼は私に気付いたようで、かなり驚いた表情でこちらを見てきた。

いつも床に写真が散乱し、あまり綺麗とはいえない部室だったが、私は不思議とこの空間が嫌いではなかった。


「あっ、ごめんなさい。

ドア開いていたし、一応ノックもしたんだけど、和中君気付かなかったから」


その表情が少しだけ可笑しくて、彼を見ながらいつもの場所へと移動し、椅子に腰を掛けた。


(あれ?)


いつもはここに椅子など置いていないのだが、どうやら彼が私のために用意してくれていたようだ。
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