小悪魔な彼
 
「水、出しっぱなし」

「あ……」



突然、後ろから手が伸びて、出しっぱなしだった蛇口が止められた。

気が付けば、台所にはもう洗い物はない。

どうやら、考え事をしながら機械的に動いていた手が、あっという間にお皿を片付けてしまったらしい。



「颯太くんのこと、考えてた?」



後ろから包み込む形のまま、頭上から聞こえた。
 
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