小悪魔な彼
 
これは本心だった。


葵ちゃんはあたしを恨んで、妬んでいたのかもしれないけど、
葵ちゃんの隣にいて、いつも笑わせてもらっていたのはあたしだ。


小さい頃も……そして再会したあとも……。


「だから…ごめんね。
 嫌われていたことに気づかないで……
 もう、葵ちゃんの前には現れないようにするよ」

「……香澄…ちゃん……」


あたしは、葵ちゃんににこっと微笑むと、再びドアノブを回した。

そして、



「バイバイ。
 二人とも」



背を向けて、最後の挨拶をした。



もう迷わない。

もう逃げない。



今あたしが行くべき場所は、ここじゃないから……。

 
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