小悪魔な彼
 
「………キス……初めてだったのに……」


ずっと大事にしてきた唇。

いつかは理想の人と、理想のシチュエーションでするためにとっておいた。
だけどこんな形で、奪われるなんて……。


「それは嬉しいですね。
 香澄先輩の初めてを俺がもらえて」

「ちょっとは、申し訳ないと思いなさいよ!」

「すみません……。でも……」


抱きしめていた腕を整え、少しだけあたしに体重がかかった。

そしてありえない言葉を耳にする。



「俺も初めてでしたから」


「……えっ!?」



驚きの言葉過ぎて、思わず振り返ってしまった。
 
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