小悪魔な彼
 
「ほんと……小悪魔な人ですね」


颯太は気を取り直したのか、目線をあたしへと戻すとあたしとの距離を縮めた。


「な、何……!?
 言っておくけど、キスとかそういのはナシだからねっ」


両手で口を押さえて、キスをガードする。

だけど颯太はあたしの体をぐいと引き寄せると……



「香澄のほうが可愛い」


「…!!」



すこしかすれた低い声で、耳元で囁いた。



「……ぷっ…
 香澄先輩、茹でタコみたいですよ」

「~~~」



年下のくせに、あたしよりも一枚上手で
大人ぶるくせに、時々無性に子ども。



「い、言っておくけどっ
 あたしはまだ、あんたのことは好きになってなんかないんだからねっ」

「まだ、か。
 じゃあ、そのうち好きになるってことですね」

「…っ」



あたしはまだまだ
この後輩に悩まされそうだ。
 
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