君のことなど興味ないッ!!

ワタシのアクム

話は4月、クラス替え後、新クラス初顔合わせの時にさかのぼる・・
「うっそぉ~・・1-3ってうちだけ・・・?」早くも私は大ピンチ、なんと前同じクラスだった子が誰もいないまさに『うそだろぉ~!』な展開になっている。
もともと中3の時に知り合いがあまりいない高校を選んで受験したから中学の時の友達もいないし・・あぁ・・・やめときゃよかったな、と遅い後悔。
2年の教室は校舎の3階にあるので階段を上がらなければならない。めんどくさ。溜息をついて1歩目を歩いたその時・・
「ウギャッツ!!」ドーンと上から降りてきたぶつかって腰を強打・・いてて、痛すぎる。
すると目の前に白い腕がスッと伸びた。もしかして・・これイケメンパターン?!よくあるじゃん!恋愛小説でさ!期待して顔を上げると・・・
あ・・けっこうかっこいいかも・・。私の目の前にはまぁ少しは期待を下回るが(失礼)それほどにかっこいい人が心配そうに顔を覗きこんでいた。黒髪なんだけどすこし茶髪かかっているセトレートの髪にこちらを見る透き通った黒い目。黙りこくっている私にその生徒は顔をしかめて大丈夫?と聞いてきた。
あ、みとれてた!いけないいけない…
私は大丈夫です、と返して差し出された手を取った。
「へーき?ほんとごめんね?」
「いえ、ほんと大丈夫ですから」そしてその生徒は安堵したかのようにふわっと笑って、よかったーと言った。ヤバい、今日めっちゃいい日じゃん。てゆーか、こんな生徒いたっけ?先輩かな?
「俺、2年の神楽光輝!そっちは?」
「え?!2年だったの?!」
「おう。ってか俺目立つ?いっつも初めて会った人にそぅ言われる」
そうしてまた、ふわっと笑う。ほんとカッコいい、こんな人が2年なんだ…なんだか信じられないなぁ…
キーンコーンカーンコーン……
「あ。なっちまった!俺、下行く用事あっからじゃぁね!」
そしてこちらの返事も待たずに階段をかけ下りていった。
かぐらこうすけ…か…。少し期待しても…いい…かな?もう、私の心はウキウキだった。
………………そいつの正体も知らずに。


以外とキツいな階段……まぁ2ー4だから階段のすぐ側だからいいんだくどね……知ってる人誰もいないから気が重いなぁーまぁ、作るしかないか!ポジティブにいこう!
おもいっきりドアを開けると……シーン...
まずい、かなり空回りしてるよね?!これ!
うぅ……みんなの視線が痛い!ヤバすぎない?これ、私はぶられちゃうよぅ……
「あっれぇー?階段の子?」むむっ!この声はー!声のほうに振り向くとやっぱり、神楽が手を降っていた。するとみんなは『なんだー、光輝の知り合い系か!』『マジ誰かと思ったー』
とずいぶん雰囲気が和やかになる。た、助かったぁー。このままだと2年の終わりまで変な扱いうけそーになるところだったー。あ、お礼言わないと。神楽に近づきありがとうと声をかけると、また笑って俺もびっくりしたしとからかった。そういえば、と神楽が前置きした。
「名前聞いてなかったな」あぁ、そういえばそうだった。
「赤城千夏です。よろしくね」
「『あかぎ』ね、よろしく!あ、席俺の隣にしろよ」え?!いいの?!まさかー!いやいやいや。絶対『うっそー!何本気になってんの?』って言われるパターンでしょ!
「何してんの?座れって」い、いやぁー信じられないよ……もじもじする私に神楽はだんだんイライラしてきてるみたい……
「おい」うわっ、やっぱキレた?!恐る恐る神楽の顔を見るとあきらかに怒ってる顔をしている。これはさすがにマズイ!び、微妙に座りたくないんだけど……座ることに決めた。
「よっしゃ、座れってくれたー!」とガッツポーズの神楽に私は動揺する。え……私に座れってほしかったの?そのことにちょっぴり舞い上がってる私にまたもや動揺する。……神楽のこと好きみたいじゃん、私。でも、歓迎されてんだから悪い気はしないんだよね。とこじつけでその動揺に理由をつける。
「そーいや、ちなつってー」
「んんっ?!」今なんつった?!気のせい?!
「?俺、変なことした?」いやいやいや、変なこともなにも……
「今、名前で呼んだよね?」
「うん。それがなにか?」え゛それがなにか?って言われたってさ……
「私、名前で呼んでって言ってないよ?」
「うん。俺、かわいい女の子には呼び捨てだからね?」かっ、かわいいですとー!?私がッ?
はぁぁぁー!? ん?待てよ。かわいい女の子『には』?ってどゆこと?まさか、女の子の外見で判断してんじゃないでしょーね!!
「それってさ、女の子を外見で判断してるって事でしょ?」
「うん。単純で分かりやすいからいいでしょ?」
「よくわけないでしょ?!!!」
教室に私の声が響き渡る。クラスの目線は私にそそがれている。でも、それでも躊躇しなかった。
「ありえない!なんで外見で決めつけるの?!自分に自信がない子に告られたら『お前は顔が無理だから付き合えない』って言うわけ?かわいそうじゃん!!」
言い切った私にクラスからどよめきが上がった。それはいい意味のどよめきじゃなくて……なんか、は?みたいな感じの戸惑いのどよめき。なんでだろ、私変なこと言ったっけ?けっこう正論じゃなかった?
「ブッ、アハハハハハハハハハ!!やべぇ、がちで笑いとまんねー!アハハハハハハハハハ」
なにこいつ……なにが笑いとまんねー!?ふざけんな。神楽は何かにとりつかれたようにゲラゲラ笑い続けた。ようやくひーひー言いながら発した言葉に私は絶句した。
「お、俺、告られたら基本OKするし?誰でもね。女の子は誰でもね」
はぁ?誰でも……だって……なにこいつ。まさかたらしだったの……あぁ、そうか。私にぶつかってきたみたいに他の女の子と出会う機会作って優しいふりをして自分の思い通りにするんだ。ふざけるな、人の気持ちになってみろってんだよ……
「まぁ、ちなつも俺に惚れてんだろ?いいよ、付き合おうぜ?俺も好きだから……」
「ふざけんなっ!!誰がお前の事を好きだって言っただぁ?!勘違いすんなバカ!!この最低たらし男!!」
ほんとになんなの?好きになってくれた人に失礼とか思ってないんでしょ?
「お前のことなんて興味ないから!!!」
そう言って私は教室を飛び出した。朝のHRは出られないけど、今の顔だとHRには出れない。もうボロボロに泣いていた。バカみたい。
ただ偽りの『かわいい』を言われただけで舞い上がってる自分。少しでも神楽に惹かれた自分。ほんと、バカみたい。
そう思い返すと私が神楽に言った言葉もどうなんだろう。
『ふざけんなっ!!誰がお前の事を好きだって言っただぁ?!勘違いすんなバカ!!この最低たらし男!!』 って私のことみたい。
神楽のセリフだ、『かわいい』って言ったたけで、優しくしただけで『勘違いすんなバカ』
……いやだ、恥ずかしい……人のこと言えないじゃん。
ほんと今日はサイテーな日だな。私は朝思った今日1日の印象を『サイテー』に書き換えた。
こんな日々が1年続くなんて絶対嫌だよ。
もぅ、なんでこんなになっちゃったんだろう…私は1人で静かに静かに泣いた。なにがなんだか分からなくて、ただただ泣いていただけだった。

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