The side of Paradise ”最後に奪う者”
成介は苦りきった顔をしていた。
「とんでもないことをしてくれましたね」
「そうか?
ショック療法にいいかと思って」
「単にいじめたかっただけでしょ」
成介は頭を抱えたくなる。
「なんでこう、ぶち壊しにかかりますかね。
全く、最悪です。
事故らなきゃいいんですがね」
綺樹の表情が真剣になった。
涼は自分でも無意識のうちに駐車場に降りて車を発進させていた。
頭の中ではただ血が音をたてて流れている。
当たり前ながら、自分とはキスなどしたことが無い。
それ以前に指一本触れていない。
いつもかわされる。
なのに。
涼はギアを下げるとアクセルを踏み込んだ。