The side of Paradise ”最後に奪う者”

成介は苦りきった顔をしていた。


「とんでもないことをしてくれましたね」

「そうか?
 ショック療法にいいかと思って」

「単にいじめたかっただけでしょ」


成介は頭を抱えたくなる。


「なんでこう、ぶち壊しにかかりますかね。
 全く、最悪です。
事故らなきゃいいんですがね」

綺樹の表情が真剣になった。


涼は自分でも無意識のうちに駐車場に降りて車を発進させていた。

頭の中ではただ血が音をたてて流れている。

当たり前ながら、自分とはキスなどしたことが無い。

それ以前に指一本触れていない。

いつもかわされる。

なのに。

涼はギアを下げるとアクセルを踏み込んだ。
< 157 / 819 >

この作品をシェア

pagetop