The side of Paradise ”最後に奪う者”

綺樹は一瞬言葉を失う。


「なんでそんな凶器を涼に渡しとくんだ。
 あいつの機嫌の悪い時の運転を知っているだろう」


眉をびりりと逆立てた。


「とっくに成人した大人に禁止できるわけ無いでしょ。
 そう思うなら社長に少しは優しくしてあげてください」

「ナビは携帯とBluetooth交信になってるか?
携帯に電話しろよ。
 運転を止めさせろ」


成介はちらりと綺樹を見てから携帯をかけた。


「出ませんね」


綺樹は悪態をつくと成介の携帯をひったくった。


「全く、携帯とはどこにいても掴まってしまう機械、なんだ。
 出ないのは反則だ」


成介は自分だって涼の電話には出なかったくせに、と言いたくなる。

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