【完】私は貴方を愛せない


芯の通った声。

『俺が貴女を守ります』


この言葉が耳の中に残る。


「・・・勝手にどうぞ」


「じゃあ勝手にします!」


「・・・じゃあ、とりあえず今日はフェラとかでいい?」


「えっ!?」


「その為にこの店があるのよ」


「そういう事、シなきゃ駄目っすか?」


「シないの?」


「今までの女の子たちもシない方が嬉しいって言ってきたし・・・」


「貴方みたいなイケメン君だったら喜んでするんじゃないの?」


「あー、でも確かに俺ならいいかもとか言ってましたけど。俺は遠慮したんで」


「男は全て快楽に弱いはずなのに。貴方変わってるのね」


「俺の目的は杏奈さんの居場所だったので!」




本当に。

斗真君は変わってる。



快楽よりも一人の女の人を選ぶなんて。

それがよりによって私。



彼にはもっといい人がいるはずなのに。


半年も私を探してくれていた。

その半年間、私は復讐に身を売っていたからいるはずもないのに。




「杏奈さん、今度こそ連絡先受け取ってください」


私はあの時と同じメモ帳を手渡された。


「完敗よ」


その紙に持っていたペンで自分の電話番号とメアド、そして欲しがっていたLINEIDも書いておいた。


そしてその紙を斗真君に返す。

「俺から連絡していいんっすか!?」


「どうぞ」


「よっしゃあ!」


子供のように喜ぶ斗真君を見て、私は少し心が安らいだ。
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