契約妻ですが、とろとろに愛されてます
3.新しい生活

真相

琉聖Side


俺たちはテーブルを囲んで美紀さんの作った手料理を食べていた。慎君も急いで大学から戻って来た様子。柚葉が退院して嬉しい様子がありありとわかる。


「ゆず姉、良く食べるな?」


慎君がから揚げを食べている柚葉をからかう。久しぶりに良く食べる柚葉を見て俺も嬉しい。


「だって……本当に病院の食事って美味しくないんだよ?」


「なんでも食べるゆず姉が美味しくないって料理って、どんなんだ?」


慎君がからかう様子を俺は眺めていた。兄弟がいない俺には今まで想像がつかない団らんだ。


「だから本当に美味しくないんだって 入院していた時に慎に食べさせればよかったな そうしたらわかったのに……そうだ!慎も入院すればいいよ」


柚葉が憎まれ口を聞く弟を睨みつけてから笑う。


「ざんね~ん 俺は健康体なの」


「ふ~んだ」


柚葉がプイッとそっぽを向く。そんな姿を見ていると慎君より年下なのでは?と思うほどだ。


「良かったよ 元気になって」


柚葉の隣に座る麻奈さんが口を開く。


「うん ありがとう 麻奈」


「いや~ 琉聖がとうとう結婚か」


考え深げにそう言ったのは修二。


「式は来春にしようと思ってる」


俺は改まって美紀さんを見た。


「美紀さん、籍は近いうちに入れたいのですが……それでよろしいですか?」


俺は美紀さんに聞いた。柚葉から話は聞いていたようで、美紀さんはすぐににっこり微笑み頷いた。


「ええ、真宮さんに逃げられないように籍だけでも入れてもらった方がいいってゆずに言っていたんです」


美紀さんも慎君同様、柚葉をからかっている。


「もうっ お姉ちゃんまでっ」


柚葉は困ったように俺を仰ぎ見た。

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