契約妻ですが、とろとろに愛されてます
強く抱かれて琉聖さんの胸に頬があたる。


「何をバカなことを言っている?病気は良くなるし迷惑などかけられていない……それに君の我が侭は可愛い……叶えてやれないこともあるがな」


琉聖さんは私に微笑みかけた。


「なんと言おうが、俺は君を手離さない」


その言葉に胸が熱くなり、目頭が熱くなり涙が零れ落ちた。


「その涙はわかったという意味か?」


私は琉聖さんの腕の中で小さく頷いた。


「君がもし骨髄移植が必要になったならば、世界中から適合者を探してみせる」


琉聖さんがそう言えば本当に出来る気がする。


「この先不安だろうが、万が一を考えるのはよそう まず体調を整えることが大事だ 大丈夫 時間はかかるかもしれないが必ず病気は治る」


私はぎゅっと琉聖さんの服を握った。


「わかったね?愛している 俺の為にも離れるなど言わないでくれ」


私は何度も何度も琉聖さんの腕の中で頷いた。


「もう寝た方がいい」


そっと壊れ物を扱うような手つきで私はシーツの上に横たえられる。


「目を閉じて」


いろいろ考えたいことはあるけれど、薬のせいか、体調のせいか、私は安心感に包まれて考える間もなくすぐに眠りに落ちた。

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