契約妻ですが、とろとろに愛されてます

隠し事

ダイニングルームに姿を見せると、琉聖さんがキッチンから出てきた。


「ゆず?」


琉聖さんは怪訝そうな顔をして私に近づき目の前に立つ。


「なあに?琉聖さん」


微笑んで琉聖を見上げる。


「顔色が悪いな 唇が白っぽい 気分は?」


私の唇に琉聖さんの指先がなぞっていく。


「そうかな……お化粧落としちゃったから お化粧落とした顔は本当は見られたくないんだよ?」


「化粧などしなくても柚葉は可愛いよ」


琉聖さんの瞳は暖かい色を帯びていて、抱き付いて甘えたくなる。


「もう……琉聖さんったら、ドキッとするような言葉を平気で口にするから……」


琉聖さんは腰を落として私の唇にキスをした。


「さあ、食べよう」


琉聖さんが作ってくれたのは美味しそうなガーリック風味のソースがかかったステーキだった。グリーンサラダもあった。


「琉聖さん、ごめんね……私、琉聖さんの奥さん失格……」


「ゆず、言ってあるだろう?君と結婚したのは料理を作ってもらいたいわけじゃないって」


いつも優しい言葉をかけてくれる。


私はコクッと頷くと、席に着いた。

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