契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「銀行は?」


そうよ、銀行があった!家を担保にすれば貸してくれるかもしれない。


「この家に1500万の価値はないの 売ればなんとかなるかもしれないけど 先方は待ってくれないし」


「住所教えて、私、待ってくれるようにお願いしてくる」


私は出掛けようと、下を向いて落ちたバッグを拾う。


顔を上げると、お姉ちゃんが驚いた声を上げた。


「ちょ、ちょっと柚葉、鼻血!」


「え……?」


慌てて鼻血が垂れないように上を向くとお姉ちゃんの手が身体に添えられた。


「頭に血が上っちゃったのね」


私は畳の上に仰向けで寝かされた。


「ごめん、お姉ちゃん……治まったら……行ってくるから」


そう言いつつも、先ほどの眩暈が本格的になってきて頭がふらふらし横になっていて良かったと思う。


「柚葉?顔色が悪いわ どこか具合が悪いの?」


ティッシュを鼻に当てもらいながら、お姉ちゃんの心配そうな声がする。


「え?どこも悪くないよ?慎のせいで頭に血が上がっちゃったのかも」


笑みを浮かべお姉ちゃんに言うも、ぐるぐる回るような眩暈が早く消えるように目を閉じた。



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