契約妻ですが、とろとろに愛されてます
******


玲子からやはり思った通りの言葉を告げられた。


再生不良性貧血のステージ四……骨髄移植をしなければ死ぬ病気。


「骨髄が見つからなかった場合……柚葉は後どのくらい生きられる?」


「もって……一年……早くて……半年……」


そう言った玲子は重いため息を吐いてうなだれた。


俺も行き場の無い憤りを感じ、ガクッとイスの背に身体を預ける。


「金はいくらかけてもいい 世界中の骨髄バンク、あらゆる機関に連絡をとってくれ」


「もちろん、もう手配はしたわ 私だって柚葉さんを助けたい でも、彼女がどのくらい頑張れるか……」


「頑張れる?頑張るに決まっているだろう?」


俺は玲子の言葉を失笑する。


「柚葉さんは自分の身体の異変に気づいていたはずよ それなのに我慢して言わなかった インターネットで何でも調べられる時代よ?自分の病気がどんなものなのかを調べているはずだから……」


意識を失う前に言った柚葉の言葉が鮮明に脳裏によみがえる。


『ごめんね……琉聖さん……』


俺は愕然となった。


知っていたのか?病気が進行していることを……?


「琉聖さん、大丈夫?顔色が青いわ」


くそっ!なぜ言ってくれなかった!


俺は頭をハンマーで殴られたようなショックを覚え、返事をしないまま玲子の診察室を後にした。


柚葉に問いただしたい気分だった。しかし、問えるはずはなかった。聞けば自分の病気=死を認識させてしまいそうで。



その日から俺は出社せずに、急ぎの仕事は桜木に病室まで来てもらう日々を過ごした。


柚葉が心配で離れたくない。


容態は安定していたが、元気がなくぼんやりする時間を過ごしていた。唯一救われるのが、目覚めると俺の顔を見て安堵する表情を浮かべ言葉少な気に会話をする。


日一日と、柚葉の命の灯が消えていくようで不安にかられる。


君は俺の元から去っていくのか?


だめだ!そんなのは許さない!



< 268 / 307 >

この作品をシェア

pagetop