契約妻ですが、とろとろに愛されてます
「も、もしもし……」

麻奈のせいで、意識して上ずった声を出してしまう。


『今、どこだ?』


え……?


「え……っと……会社です」


『柚葉?昨日、言った言葉を覚えていないのか?』


「う……うん」


言われたことは覚えている。二・三日休めと言われた。電話の向こうの琉聖さんはいつもより低い声でかなり怒っているよう。


つい覚えていないと頷いてしまう。


『……』


「琉聖さん?」


『……身体の具合は?』


「もう大丈夫です あ、あの ありがとうございます」


『体調が良くなったのならかまわないな 明後日、ホテルでパーティーがある』


「パーティーですか……?私……」


パーティーと名が付くものに出たことがないし、私の知っている世界と違うはず。正直言って気がのらない。


『嫌とは言わせない』


私の気持ちをくみ取ったらしく、琉聖さんの声のトーンが低くなった。


琉聖さんが私と婚約の契約を結んだのはこういうことも含まれている。


「……わかりましたっ」


大人気なくぶっきらぼうに返事をすると、電話の向こうから笑い声が聞こえた。


『明後日だ。忘れるなよ ドレスはマンションに置いてある』


それだけ言うと電話は切れた。



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