You are my light



その瞬間、右のわき腹に激痛が走る。



「……っ、」



一瞬、息が出来なくなるぐらいの痛み。



「やった…やったぞ……!俺は…!!」



意味不明なことを言って男はナイフを乱暴に引き抜く。


更なる痛みに体の力が抜けてしまった。



床に倒れると痛いだろうなぁ……


なんて呑気なことを考えられる辺り、私って意外と大物なのかもしれない。


ぎゅっと目を瞑るけど、予想に反して私の体は温かい温もりに包まれた。



「…っ、満月……!」



近くで聞こえる悲痛な声。


そっと目を開くと正面に太陽の顔があった。



「…たい…よ……?」



激痛で乱れる息の中、その名前を呼ぶ。



「早く、救急車呼んで!!蒼介、莉都、その男捕まえて!!」



遠くから涼の声が聞こえる。



「満月、今救急車くるから、しっかりしろよ!」



太陽が今にも泣きそうな顔で私を見る。


そんな顔をさせたかったわけじゃないのに……



「たい、よ……なか…な……で…?わた…し……は……だ…じょぶ……だ、から……」



苦痛に歪みそうになるのを抑えてぎこちなく笑みを浮かべる。



「太陽!満月ちゃんは!?」


「出血が多い。このままだと……」



あぁ……なんか寒くなってきたかも。


無意識に太陽の体にすり寄る。



「満月、おいっ、起きろ!!」


「満月ちゃん!?」




太陽の温かい温もりに包まれながら、私の意識は闇に落ちていった。





< 275 / 406 >

この作品をシェア

pagetop