ベイビー、君は僕のもの
そんなわたしに対し、だけどかなちゃんは、少し首をかしげて口を開いた。



「その時計、止まってるだろ」

「はっ?!」

「だから、本当は今この時間」



もう1度よくよく玄関の時計を確認してみると、確かに秒針がピクリとも動いていない。

すぐに差し出されたかなちゃんの腕時計に目を向けたら、彼の言う通り、もう電車では間に合わないような時刻になっていた。

さーっと、一気に血の気が引く。



「あ、ありえない……!!」

「どーする? 俺、送ってくけど?」



にっこり笑いながら、目の前で車のキーをちらつかせるかなちゃん。

その笑みは一見無害なようで、有無を言わせない何かがある。

やっぱりこいつイイ性格してる、と思いながらも、わたしは渋々「おねがいします」と呟いた。
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