流れ星
その日の放課後、何人かの生徒が先生に呼ばれ、注意されていた。
それを横目に見つつ、僕が帰ろうとすると
「一緒に帰ろ」
そういって委員長がぶつかってきた。
僕は何も言わず歩き出す。
「待ってよ~」
委員長はそういって僕についてきた。

僕は一緒に帰る気はなかったが、委員長は僕の横をずっと歩いている。
そして、他愛もない話をしてくる。
「あたしね、最近バイト始めたの…」
「最近お母さんとケンカしてさ…」
「あたしドジでさ、この前ね…」
いろいろ話してくる。
(よくこんなに話せるな)
僕はちょっと尊敬した。
いろいろ話していたけど僕はどの話題にも反応しなかった。
興味がなかったから。
でも…
委員長が去り際に言った一言だけは鮮明に覚えている。
「本田君、現実から逃げちゃだめだよ。しっかりと向き合わないと。じゃあね、また明日。」
僕はドキドキしていた。
(なんなんだこの感覚は…耳が熱い)
今までに感じたことのない感覚だった。
この委員長の一言は、僕にとってものすごく重みのあるものだった。
僕は、委員長に一言だけ
「ありがとう」
とボソッとつぶやき、その場を去った。

この日をさかいに委員長は
毎日僕に話しかけてくれるようになった。
< 3 / 3 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

俺は笑った

総文字数/1,055

青春・友情2ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
異性の親友との切ない物語。素直になるって難しい。言いたいことを言葉にするのは難しい。ちょぴり寂しい物語です。
俺は笑った

総文字数/1

青春・友情1ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
俺にはなんでも話せる幼なじみのユキという異性の親友がいた。 ユキとは小学校から高校までずっと一緒だった。 中学生のころ、俺は好きだった人にふられ、かなり凹んでいた。 そんなときユキが 「泣いてんの?あたしはあんたの笑ってる顔が好きなんだけどな」 それはあいつの精一杯の励ましだったのだろう。 でも素直にうれしかった。だからこれからはいつも笑っていようと思った。 月日は流れ、高2の秋、ユキは急に「一緒に帰ろうよ」と誘ってきた。 「急にどうした?」と聞くと 「ちょっと話したいことがあってさ…」と答える。 そのとき俺は、もしかして告白!?なんて勝手に妄想してにやけていた。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop