青い糸【完】
あたしの面倒を見てくれている佐藤さんは、とても優しい人。
30代前半で、少したれた目じりが可愛らしい。
左手にはめられた結婚指輪が、“幸せだ”と主張しているよう。
あたしは、そんな佐藤さんを見るたびになんだか嬉しくなった。
「...よし」
新人の人がやって来るまで、本の整理をしておこう。
先週に返却された沢山の本をジャンル別にわけていく。
「.........」
ジャンル別にわけられたら、次は作者別に並べていく。
「桜木...佐野......さえ...き」
“さえき”
最近のあたしは、“さえき”という言葉に敏感になってしまった。